たばこの煙に含まれる「ニコチン」や「タール」、「一酸化炭素」や「ダイオキシン」などの毒性は広く一般に知られていますが、このほかにも数千種類の化学物質が含まれ、解っているだけで数百種類の有害物質が含まれています。
これらが原因で「肺がん」や「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」その他さまざまな疾患になる確率が大幅に上昇する(※確率が上がるのであって必ず病気になるわけではない)事は多くの文献からうかがい知ることが出来ますので、今の世の中たばこが体にいいなどと言われる方は皆無でしょうけど、コミニュケーションやリラクゼーション、リフレッシュのツールや嗜好品としての地位はいまだゆるぎないものがあります。
なぜ今更こんなことを言い出したかと言うと、東京オリンピックの開催が決まり世間では公共の場での喫煙を制限したり飲食店内を全面的に禁煙にするなどたばこに関する議論が活発化しており、ただでさえ肩身の狭い喫煙者がさらに身の縮む想いにさいなまれているのが忍びなく、ささやかながら意見具申を・・・・・いや・・理屈をこねて論点を逸らし焦点をはぐらかす単なる言い訳を(笑)
さて、病気に限ってフォーカスした時はたばこは悪者でしかありませんが、嗜好品としてみた場合にはその良さもいまだ残っているわけで、禁煙を推奨する人や喫煙を続ける人にはそれぞれの真実や信念があって双方の意見を否定するものではありません。
たばこに限らず物事には表と裏があり、そしてそれは「表裏一体」と言う言葉が示すように一つの物の見る角度を変えた多面性の一部分と言い換えることが出来ます。
物事の裏表を表す太陰大極図
裏の面ばかりがクローズアップされているたばこですが、裏のさらにまた裏に隠れているたばこの有害物質の中でJTさんが
ひた隠しwあまり公にしていない「ポロニウム210(210Po)」と言う放射性同位元素があります。
この「210Po」 は「ウラン238(238U)」系列にある核種ではタバコ葉の表面に吸着されやすく、製品となったたばこからも検出されています。
そして「210Po」はα崩壊して安定元素の「206Pb(鉛206)」になりますがこの際、約5.4MeVの「α線」を放出します。
「α線」と言うのは放射線の一種で「高LET放射線」に分類されます。
「LET」と言うのはざっくり言えば生物に対する放射線の影響力の指標で「高LET放射線」は「α線」のほかに「陽子線」や「中性子線」、「重粒子線」などがあり生物に対する影響力も高くなります。
たばこを吸った際にこの「210Po」も一緒に肺に入り「α線」を放出して肺の細胞を傷つけていきます。
故に、たばこを吸うという行為は自ら進んで内部被ばくをしていると言いかえることができます。
放射線関係の先生の中には「たばこで出来たがん細胞をポロニウムの放射線でやっつけているんだ」と言うむちゃ理論を展開している方もいらっしゃいますが(笑)
ベイプをのぞきたばこ葉を使う「プルームテック」や「アイコス」、「グロー」、「ベポライザー」等の加熱式たばこも同じように「210Po」を一緒に吸っていることは間違いないでしょうから「紙巻たばこに比べて有害物質を大幅カット」なんてうたい文句は鵜呑みに出来ないところはあります。
まあ、燃やさない分いくらか飛散量が少なくなっているとは思いますが。
なぜこんな事を書いているかといえば、この「210Po」は上位の核種に「ラドン222(222Rn)」や「ラジウム226(226Ra)」があり、同じように「α線」を放出しながら「210Po」を経て最終的には「206Pb」に落ち着きます。
「222Rn」は希ガスなので岩盤浴や温泉浴中に肺に取り込まれますからラジウム岩盤浴やラドン温泉に含まれる体に良いありがたいものも実は主成分が放射性同位元素だったというオチがあったりして、これまた「煙草の「α線」は有害で温泉の「α線」は体にいい」などという立場のことなる主張の二面性なのかも知れません。
結局はその人の気持ちの持ちようで、人体に必ず影響が出るような閾値を超える放射線量ではなく、おそらく大きな影響のない範囲の放射線の強さなんでしょうけど。
詳しくは「放射能泉と健康 (09-02-07-10)」。
ところで、たばこに含まれるニコチンは200℃くらいを中心に蒸発しやすいようで、燃やさなくても加熱するだけで紙巻たばこと同じようにニコチン摂取できます。
これを可能にしたのが「ベポライザー」で、「アイコス」や「グロー」も同じ原理ですが吸ったときの煙をつくるために「グリセロール」が添加されているようです。
「プルームテック」だけは若干原理が違い蒸気をたばこ葉に通すことで主にニコチンを抽出する蒸気蒸留方式を取っています。
いずれにしても燃やさないということは「一酸化炭素」や「タール」、「ダイオキシン」などの有害物質を大幅にカットできますから加熱式たばこが喫煙者に受けている理由は明らかですね。
それでも燃焼に伴う有害物質はカットできても「プルームテック」や「ベイプ」の蒸気には「グリセロール」と「プロピレングリコール」が含まれ「アイコス」・「グロー」の蒸気には「グリセロール」と微量のタールが含まれることが示唆されています。
さらに「無煙君」を使えば煙のもととなっている「グリセロール」や「プロピレングリコール」もカットできますし、ベポライザーで刻みたばこを使えば燃焼促進剤やらその他の添加物もカットできる可能性がありますが、まったく害がないというわけにはいかないようです。
ネット上ではこの「グリセロール」と「プロピレングリコール」について「有害である」と言う方と「無害である」と言う方の意見が割れていますが、どちらの物質も飲んだり食べたりした時の毒性は低いのですが、気化した蒸気を吸い続けた時の長期間フォローしたデータがありませんので、現状でこの議論をすることはあまり意味がありません。
「有害」でも「無害」でも議論するにはまずはこれらの物質の特性をしっかり調べる基礎データをとり、投与量を超えた時に必ず影響が出る閾値があるのかどうかを調べなければいけませんし、性差や人種、年齢などを含めた大規模な長期フォローデータが必要になってきます。
結局、何が言いたいかと言えば健康リスクを考えながらたばこやベイプを吸うという行為は病気を治す薬の副作用を心配し過ぎてかえって精神的な健康に良くない影響を及ぼすのと同じ事です。
そうでなくても現代社会は道を歩くだけで宇宙から放射線は降り注いでいますし、電磁波やらPM2.5やらにさらされ、飲み物や食べ物は添加物が入りまくっていますし、着るものは化学繊維が多く、洗剤や柔軟剤も化学物質の塊ですから。
オーガニックなんて言って売り出している商品も厳密には素材の生育段階でこれらの化学物質にさらされ、商品になってからも真空パックで送られてこない限りいろんな化学物質や有害物質にさらされているわけで、もう考えたらきりがありません。
どうしても嫌な人は鉛やコンクリートで電磁波や放射線から遮蔽された空間でフィルタを通した空気や水だけを飲みながら外界から隔離された空間で育成された食物だけを食べて生きる以外ないんですけどね。
これだけ気を使っていても結局コンクリートからは放射線は出ていますし、中間子などの宇宙放射線はお構いなしに通り抜けてきます。
大きなことを言うつもりはないのですが、太古の昔より生物は様々な有害物質にさらされながら進化してきたわけで、外部から一切刺激のない環境で育てば抵抗力も弱まり免疫機能も正常に働かなくなります。
今では普通に呼吸して取り込んでいる酸素なんて、生き物にとっては今も昔も変わらず猛毒ですからね。
まあ、自分から有害物質だけを好んで摂取する必要はありませんがあまり神経質になるのも健康上よろしくないわけで、かと言ってたばこが嫌いな人にとってはこの煙が死活問題なわけですから、有害物質の発生源となっているからには周りへの配慮は必要になってくるわけです。
例えば子供のいる場所では控えるとか風上に立ってたばこを吸わないとか。
吸殻を捨てないなんてことは当たり前のことで、たばこを吸う人が目の敵にされている最大の原因だと思いますよ。
「ベイプ」や「加熱式たばこ」の煙は今のところ「紙巻たばこ」に比べて大幅に有害物質が少ないことはわかっていますが、現状ではデータが少なく安全性が保障できない以上、公共の場で使うときはたばこと同じように一定の配慮が必要なのは言うまでもありません。
あまり突き詰めていくと過激な意見に収束してしまいますので議論の余地は残した方が良いではありますが、他人の意見に過干渉しすぎる世の中ですので、なるべく中立を保てるように書きましたけど私はたばこが嫌いではありませんがたばこのにおいはあまり好きではありません。
「プルームテック」「アイコス」「グロー」などの加熱式たばこや「ベイプ」はそういった人たちにとっては非常にありがたいものですので今後も感情論ではなくしっかりとしたデータに基づいて議論が進んでいくことを望みます。
・・・・・つづく